AutoCADに関わる人のあいだで、ちょっとした話題になっている。
TrustedDWG=「本当の信頼」なのか。
Autodeskいわく、DWGは世界で最も利用されているデザインデータ形式。
デザインデータというくくりから言うと、少々大げさな表現だが、
CADの業界に限って言えば、正しい表現だ。
AutoCADは当たり前のにDWGを読み書きできるし、
世界中のCADの多くが、DWGを読み書き可能であるから。
DWGが今のように業界の標準になったのは、Autodeskだけの功績ではない。
内部構造を非公開としているDWGを、OpenDesignAlliance(以下ODA)などの他社が
リバースエンジニアリングによって解析を行い、その解析ライブラリを
非AutodeskのCADメーカーが利用するようになったからだ。
そう言う意味では、AutodeskはDWGを業界標準にするつもりだどなかったはずだ。
他社のせいで、意図せずに業界標準になってしまったと言うほうが正しい。
Autodesk製のCADが保存したDWGのことを、TrustedDWGと呼び信頼性が
保障されたものとし、非Autodesk製のCADが保存したDWGを
信頼できないものとして排除しよう、ということが行われている。
AutoCAD2007から、そんな仕組みが実装されているのだ。
海外CAD事情に興味深いことが書いてある。
Autodesk製の2007形式DWGには、TrustedDWGを表すために特殊なフラグが立っている。
これをODAがリバースエンジニアリングにより解析して、DWGdirect 2.1.1を使って
保存したDWGにこのフラグを立てるようにして、TrusteDWGということにしたところ...。
AutodeskがODAを訴えた。
>Autodeskの訴訟には次の二つの争点が存在する。
>1. ODAはTrustedDWG という名前やテクノロジーを使用できるか? 答えはノー。
>2. Autodesk製品が生成するDWGファイルは信頼できるか(クラッシュしないか)? 答えはノー。
(海外CAD事情から引用)
TrustedDWGというAutodeskの登録商標を、ODAは侵害することはできないが、
TrustedDWGが本当に信頼できるものなのか、ということ。
TrustedDWGだからクラッシュしなくて、TrustedDWGでないからクラッシュするのか。
それは間違いだ。
どちらであろうともクラッシュするときはクラッシュする。
比率で言えば、少しは違いが出るであろうが、それほど大差はないはずだ。
裁判の結果がどうなったのか、詳細は知らない。
海外CAD事情によると。
>この手の典型的な結末は、Autodeskが勝訴はするが、陪審は賢明にも実体を理解し、
>賠償金1ドルを言い渡す…..いやいや、Autodeskは“三重”の損害を言い立てている
>ので3ドルというところか。
一方、大きくなりすぎたAutodeskへのエンドユーザーの不満が出始めている。
比較的大きなバグだった、コピー&ペーストの問題が出たときは、
それでもTrustedDWGだと言い張るのか、ということが言われたりした。
AutoCADで保存したDWGにおいても、整合性のない状態になったり、
不正なオブジェクトができる例がある。
それでもTrustedDWGかと。
巨大企業Autodeskと、弱小だが高い技術力を持つODAのバトル。
風はAutodeskに吹いていない。
市場が自ら持つ調整能力により、Autodeskは力が低下していくのか。