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共通ライブラリ

とっても抽象的な言葉ですね、共通ライブラリって。CADの開発者でSXFに関わっている人ならピンとくるわけですが、それにしても妙な命名をしたもんです。「共通」の「ライブラリ」ですからね。固有の名詞がひとつもなくて、抽象的な単語が2つ続いているだけですから、わかるわけがありません。

 比較的昔からこれに関わってます。新しくできたCADデータ交換フォーマットであるSXFファイルを読んだり書いたりするための、補助機能のようなものです。少々言い換えると、CADを作っているベンダー専用で、SXFのデータ構造を入出力するためのプログラムライブラリーです。

 基本はCで書かれていて、一部C++的な記述も散見されます。使える開発環境は、VC6だけというのは、やや汎用性に欠けるでしょう。Windowsだけでマイクロソフトだけで、しかも一世代前の環境です。.Net全盛のこの時代、VC6ですからね。と、偉そうなこと言いつつ、うちのアプリケーションはVC6で作っているというのが悲しいところですけど。

 いくつかの単純な関数と構造体だけで作られているため、わかりやすことはわかりやすいです。オブジェクト指向的にクラスで継承で隠蔽で多態性でなんたら、という今風のつくりになっていないのは、ある意味安心できることです。単純でわかりやすいのはいいのですが、融通が利かないという面があります。ランダムアクセスができないとか、バグ報告しても修正されにくいとか、ソースがごちゃごちゃしてるだとか、メモリーリークする場合があるとか、って感じです。

 .Net対応で、オブジェクト指向準拠の共通ライブラリなんてのが出たら、CADベンダーはけっこう混乱するでしょう。プログラムの世界でよく言われることですが、人が作ったソースを修正するよりは、一から作り直したほうが早いよって。例えば、高速化をしたい場合、既存のプログラムをコツコツと解析してボトルネックを見つけるよりは、高速動作を前提としたプログラムに作り変えてしまえ、というわけです。改造するのと、新しくつくるのでは、それぞれに一長一短があるでしょう。ちょっと関係ない話になってしまいました。

 SXFの発展において、共通ライブラリの存在は最も重要なものの一つだと考えています。その動向を見守っていきたいと思います。

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