サイトアイコン CAD日記

円をポリラインで

見た目は円にしか見えないのに、

確認してみると、ポリラインとなっている。

こんな図形に出会ったのは10年ほど前か。

当時は意味不明だったが、最近それがわかってきた。

以下の手順で遭遇することができる。

1.黒丸の矢印を持った寸法を書く

2.寸法を分解する

3.矢印部分をさらに分解する

この時点では、塗りつぶされた円のように見えるが、

これは幅を持ったポリライン。

これを選択して、オブジェクトプロパティ管理から、

2つの頂点に対して、それぞれ開始セグメント幅と終了セグメント幅に

0をセットすれば、見た目円になる。

ポリラインに円弧を含めることができるというのは、

比較的有名な話だが、円を描けるというのはあまり知られていない。

最初から書くなら次の方法となる。

1.PLINEコマンドを実行

2.任意の点をクリック

3.Aと入力(円弧)してEnter

4.さらにAと入力(角度)してEnter

5.180と入力してEnter

6.任意の点をクリック

7.CLと入力(閉じる)してEnter

これで完成。

こんな苦労してポリラインで円を書く必要がどこにあるのか。

素直に円を書くなら、半径と中心点を指定するだけで済む。

推測を交えて考えてみた。

黒丸の寸法矢印において、その効果を発揮する。

まだ塗りハッチングという図形タイプなかったころ(R13Jまで)、

黒丸の塗り部分をどうやって表現すればよいか。

(三角形の矢印を塗り潰すなら、昔からある塗り(SOLID)という

 図形タイプで表現できる。SOLIDは3点または4点で囲まれた

 領域を塗り潰すもの。)

2点の頂点を持つ円弧型のポリラインに線幅を持たせればよい。

こんな名案を誰かが考えたのだろう。

というか、黒丸矢印を表現するためにポリラインに線幅を持たせた

のかもしれない。

ポリラインという図形は、ほんと多彩なデータ構造を持っている。

閉じているかどうかなんてのは序の口で、

・フィットスプラインの頂点追加

・3次元ポリライン

・ポリメッシュ

などなど、意味不明なフラグ情報がたくさんある。

頂点情報(VERTEX)も含めると難解この上ない。

そんな混沌とした状況で生まれたのがライトウェイトポリライン。

R14でお目見えした。

今、普通にポリラインと読んでいるのは、ライトウェイトポリラインのこと。

ファイルサイズを小さくするために、図面中によく現れるポリラインを

軽くしてしまおうという目論見。

円弧を表現するためのふくらみ情報は保持しているが、

それ以外の雑多な情報(スプラインフラグどか)をすべてカット。

ポリラインの頂点(VERTEX)が持っていたZ座標もカット。

(↑サイズ減の要因としては、これが一番大きい)

これによりファイルサイズが小さくなり、

CADの動作も高速になりますよ、と謳っていたと思う。

同時につくったハッチングは、AutoCADを重くする要因になってしまったのは

皮肉なものだけれど。

モバイルバージョンを終了