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IntelliCAD

 AutoCADをそっくりの廉価版CADです。何がすごいって、安いんです。一番安い製品で、¥31,500也。AutoCAD LTが12万なんぼなので、激安です。

 今はマイクロソフトに吸収されたVisioという会社が、作ったCADです。以下、少々想像を交えて説明すると。Autodeskの元社員が何名か会社を辞めて、その時点におけるAutoCADのテクノロジーを持ち出した。つまり、その時点におけるAutoCADをそっくりそのまま作ることができたわけです。その時点から、AutoCADとIntelliCADは分岐しました。そしてIntelliCADは、AutoCADの新しいテクノロジーをリバースエンジニアリングによって取得して、IntelliCADのAutoCAD互換性を維持している....と。うろ覚えの記憶と一部想像を交えると、こんな感じだったと思います。事実は違うかもしれませんが。

 私が注目したいのは、AutoCAD互換CADではありません。AutoCADのデータフォーマットであるDWGのテクノロジーです。IntelliCADが出来るまではDWGの内部フォーマットは、はっきりしてませんでした。いくつかの独立系ベンダーが、いろいろと研究して、それなりに解明はされてましたが、どうもはっきりしない不明な部分が多々ありました。当時、DWG解析のために、Dr.DWG(ドクターDWG)というライブラリを使っていたことがあります。IT技術者の多いインドの会社製ものでした。これはひどかったです。バグが多くて、大変な苦労をした覚えがあります。今でもまだあるのかなー、と思ってググってみたら、ありました。ちゃんとWebサイトがあって、DWGに関するいろんなサービスを提供している感じでした。当時の経験があるので、いまさら使う気はないですけど。

 という状況で現れたのが、OpenDWGです。非常に高いレベルで、DWGの内部データにアクセスできるプログラムライブラリーです。そりゃそうです。OpenDWGはVisioの流れを汲んだ組織がつくったもので、ベースがAutoCADのテクノロジーそのものなんですから。ドキュメントもしっかりしていて、使いやすい構造になっていて、バグが少なくて...。今までの苦労は、いったい何だったのかと、呆然としたものです。今、DWGを読めないCADは、ほとんどないと思います。そして、DWGを読めるCADのほとんどが、DWG解析ツールとしてOpenDWGを使っていると思います。あくまで想像ですけど。

 忘れてましたが、OpenDWGという名前は古い名前で、今はOpenDesignAllianceと名乗ってます。DWG以外にDGNというCADデータにも対応したことから、新しい名前に変更したのだと思います。それで、DWGを解析できるツールをDWGdirectとしました。その前は、OpenDWG Toolkit、略してODTというツールでした。ODTはAutoCAD2000形式のDWGまでにしか対応していなくて、AutoCAD2004のDWGに対応するべく、別の新しいツールとしてDWGdirectを出しました。最初のうち、DWGdirectの正体がはっきりしなくて、こりゃなんだとモンモンとしていた時期があったのを覚えてます。なにぶん、ホームページは英語で書かれてるので、何がなんだかわからなかったのです。その必要性にかられて、根気と努力により英文を読破し、DWGdirectをものにできたのは大きな出来事だったと思います。

 IntelliCADが最近バージョンアップしました。AutoCAD2004形式のDWGに対応したのです。つまり、CADのエンジン部分をODTからDWGdirectに乗せ換えたのです。これは相当大変だったようです。ODTとDWGdirectでは、インターフェースが大幅に変更になっています。私も経験がありますが、乗せ換えるのはけっこう大変でした。私の場合は、ただのデータコンバータだったのですが、それがCAD自体となれば想像を絶する大変さになりそうです。

 IntelliCADは、Autodeskという巨大な企業に立ち向かう小さな存在です。今後、どうなっていくのか、大変興味深く思ってます。状況は厳しそうですが、がんばってほしいものです。DWGテクノロジーのオープン化に最も貢献している存在ですから。

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