サイトアイコン CAD日記

Drawing

DWG=drawingの略称。
海外CAD事情 566号「商標ウオッチ:“俺の”DWGを返せ」を読んで、初めて知った。
drawingと言えば、図面。
こんな単純な意味合いだとは知らなかった。
CADソフトのデータ交換形式として、最もよく使われているDWGファイル。
AutoCADのネイティブファイル形式であり、データ構造が公開されていない。
欧米でのAutoCADによる業界の寡占が進み、日本でもAutoCADが
じわじわとその勢力を広げつつある。
日本では、国産の中小CADメーカーが多く残っているが、
これは世界的にはめずらしいことらしい。
欧米各国では、AutoCADやMicroStationのような巨大CADメーカーによって、
弱小CADメーカーは淘汰されてしまっている。
少し前までは、DXFがデータ交換の主流であった。
テキストファイルのため、ファイルの中に何が記述されているかを
簡単に確認できる。
データ構造が公開されていて、誰でもその情報を得ることができる。
しかし、テキストファイルであったがために、ファイル容量が大きくなりやすい
ことが大きな問題だった。
また、OSごとに改行コードが異なることによって、トラブルがおきることもあった。
MiniCAD(現VectorWorks)が保存したDXFの問題として、よく知られている。
DXFとDWGは、本質的には同じものだ。
DWGのほうが若干保持できる情報が多いという話を聞いたことがあるが、
それは非常に例外的な情報で、それが保存されないことで困るケースは、
ほとんどないだろう。
DWGはAutoCADのネイティブフォーマットで、DXFは中間ファイルフォーマット。
ということから、「DWGのほうが安心」という空気が出来上がった。
DWGのデータ構造は公開されていない、と先に述べた。
AutoCADの開発元であるAutodeskは、データ構造を公開していない。
しかし、非AutodeskのCADソフトの大半は、DWGの読み書きが可能だ。
公開されていないデータを読み書きするために、どうしているか?
OpenDesignAlliance(以下ODA)のDWGdirectを使用している。
(OpenDWGのDWG解析コンポーネントと言ったほうがわかるか。)
Autodeskとは対立的な立場にいるODAが、AutoCADのネイティブファイルである
DWGを読み書きするためのコンポーネントを有料で配布しているのだ。
ODAの成り立ちについて触れてみる。(IntelliJapnサイトから一部引用。)
発端は、1990年代にMarComp社がDWGファイルへ直接アクセスできる
ツールキット(AUTODIRECT)を開発したことだった。
これが関係してか、Autodesk社はMarComp社を、ADNから除名する。
その後、Visio社がMarCompを買収。
Visio社はAutodesk社と戦うため、CADデータベースのオープン化戦略をとる。
非営利団体のOpenDWG Allianceを設立し、買収したMarComp社の資産を
無償で提供する。
そして、世界中のCAD/CAM関連企業に参加を呼びかける。
その後、Microsoft社がVisio社を買収。
この時点ではVisio社とODAは、完全に分離していたものと思われる。
でないと、Autodesk社とMicrosoft社は対立関係ということになるが、
そんな話は聞いたことがないので。
「俺のDWGを返せ!」(Autodesk社いわく)
海外CAD事情の記事は、そういう話だ。
SolidWorks社が、DWGgatewayという名前を商標登録していることに、
Autodeskがかみついている。
AutodeskがDWGを商標登録していないので、SolidWorks社は
DWGという名前を使用しているだけなのに。
DWGは、drawingという一般名詞の略称なので、
商標登録できなかったという背景があるようだ。
自分の意図とは関係なく、いつのまにかDWGが広まってしまって、
自分の手を離れたところで、返せと主張している。
この戦い、Autodesk社に分が悪い。
DWGは誰のものか?

モバイルバージョンを終了