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2次元と3次元

近頃、CADの話から遠のいていたので久しぶりに書いてみます。CAD日記というタイトルを裏切らないようにしなければ...。

 2次元汎用CADの開発に関わって約10年。CADにおいて、2次元と3次元には大きな壁があると痛切に感じます。座標値としてXとYがあるのが2次元で、そこにZが加われば3次元だというのとは、訳が違います。例えば円を考えてもらえると解りやすいかと思います。中心点としてのXYZ座標と半径。これだけでは、足りないのです。その円がどういう向きを持っているかが必要です。3次元単位ベクトル、つまりXYZの値が必要なわけです。解りやすい一例をあげてみましたが、実際はもっともっと複雑なんだと想像しています。

 2次元CADの延長上には3次元CADはありません。2次元の世界では、頭の中にイメージができやすいので、CADの内部処理は簡単です(3次元と比べたら)。なんとなく知っている三角関数やその他方程式で解が求まります。そして、処理速度にも大きな違いが出ません。一方、3次元CADでは、専用のエンジンを持っているのが普通です。効率よく、高速に計算をするためには、必須と言えるでしょう。Parasolid、ACISなんてのがあるようです。実際に使ったことがあるわけではないので、偉そうなことは言えませんけど。

 内部的な構造の違いもそうですけど、ユーザーの使い勝手も全然違います。3次元CADを持ってるから「2次元CADはもういらなくなった」なんてことはなくて、場合によって使い分けるというのが、普通です。で、2次元CADには画期的な機能追加なんてなくて、昔から使ってるものを使い続けるので、なかなか需要が伸びなくて、価格が低下していってます。3次元CADは、未導入ユーザーが多いし、いつかは3次元の設計をやらなければというユーザーが多いので、大いに市場が盛り上がってるわけです。

 余談ですが、3次元のことを3Dなんて言いますね。Dは、Dimensionの略です。Dimensionには、他にも多くの意味があって、一つには寸法という意味があります。AutoCADの寸法線は、データフォーマット的にはDimensionと呼ばれてます。DWGとのデータ交換プログラムにおいてDimensionはやっかいなものです。過去に何度も煮え湯を飲まされていて、また今現在においても新しい問題点がいくつも発生しています。詳細は省きますが、DWGのDimensionは、とっても憎い対象です。

 2次元CADだけじゃ商売にならないよ、というのが近頃の傾向です。特定の業種に特化してるとか、とっても斬新なことができるとか、超高速で処理できるとか、でないと生き残れないんです。さて、どうしようか、てな感じです。

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