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ビューポート優先プロパティ

AutoCAD2008から、ビューポート優先プロパティが利用可能になった。
通常、各種図形の色・線種・太さは、図形が持っている情報や画層が
持っている情報で表示されるわけだが、この機能を使うとビューポートごとに
異なる情報を持たせることが可能になる。
正確に言うと、画層の色・線種・太さの設定が、ビューポートごとに
行えるようになったということだ。
もともと、ビューポートごとにフリーズする(非表示かつ選択もできない状態)
ことはできたところに、色・線種・太さの設定が可能になった。
ここで言うビューポートとは、レイアウトに配置したもののことなので、
モデル空間では利用できない。
このビューポート優先プロパティについて、データ構造的な考察をしてみる。
色・線種・太さということでは、それぞれデータ構造が異なるが、ここでは
一番シンプルな色について、図形は線分で説明する。
1.線分の色を取得する
2.1がBYLAYER以外であれば、1の色で確定する
3.1がBYLAYERであれば、線分の画層の色で確定する
4.3において、線分を表示するビューポートの画層において、色の上書きフラグが
 立っている場合は、そのビューポートの画層の色で確定する
5.3において、線分がレイアウトに直接書き込まれている場合、特別なビューポートの
 画層の色の上書きフラグが立っているかをみて、そのビューポートの画層の色で
 確定する
上で触れた「特別なビューポート」について説明する。
DXFハンドブック 第2版 落合 重紀 (著)の「11-11 表示されないビューポート」で
触れられているビューポートのこと。以下で引用する。
 DXFにデータとして存在するが、AutoCADでは表示されないビューポートが
 あります。...表示されないビューポートの場合、常にビューポートID(グループ
 コード69)は1です。
私も長いこと、このビューポートについて「表示されないもの」あるいは
「意味を成さないもの」と理解していたが、最近分かったことがある。
このビューポートは、レイアウトそのものを表したものであるということ。
ビューポートはレイアウトに配置されるのが普通であるが、そうでない場合があった。
レイアウトに依存しないビューポートがあったのだ。
それは、レイアウトに直接書いた図形のビューポート優先プロパティを
表現するためのものだった。
何のためにこのビューポートがあるかの一つの答えになったと思う。

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