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さまよう刃

さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)

さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)

  • 作者: 東野 圭吾
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2008/05/24
  • メディア: 文庫

東野圭吾の文庫本を読んだ。
あいかわらず、外れがない。
涙を流した。
以下、ネタバレ注意。
不良少年どもに殺された娘の恨みを晴らす父親が主人公。
父親が犯人の1人を殺すまでは、普通の復讐ものというところか。
警察から逃れて、密告者からの情報を頼りにもう1人の犯人を捜す。
世間の同情を買い、協力者を得る。
復讐を果たせるというその瞬間に、協力者の行動で結果が逆転する。
父親は、警察に撃たれて死亡。
犯人は警察につかまるが、少年であるため罪は軽い。
恨みを晴らせないせつなさ。
よかれと思って行動した協力者の悲しみ。
密告者の意外な人物像。
ただ復讐して満足するだけの単純な話ではない。
社会の理不尽さを、これでもかと書ききっている。
腹立たしくて、くやしくて、せつない。
父親の立場になると、復讐は当然の行動であり、
誰もそれを止めることはできないはずだった。
たとえ警察であったとしても。
悲しくて悲しくて、涙が止まらなかった。
正義とは何か、よくわからなくなった。

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