東野圭吾の文庫本を読んだ。
あいかわらず、外れがない。
涙を流した。
以下、ネタバレ注意。
不良少年どもに殺された娘の恨みを晴らす父親が主人公。
父親が犯人の1人を殺すまでは、普通の復讐ものというところか。
警察から逃れて、密告者からの情報を頼りにもう1人の犯人を捜す。
世間の同情を買い、協力者を得る。
復讐を果たせるというその瞬間に、協力者の行動で結果が逆転する。
父親は、警察に撃たれて死亡。
犯人は警察につかまるが、少年であるため罪は軽い。
恨みを晴らせないせつなさ。
よかれと思って行動した協力者の悲しみ。
密告者の意外な人物像。
ただ復讐して満足するだけの単純な話ではない。
社会の理不尽さを、これでもかと書ききっている。
腹立たしくて、くやしくて、せつない。
父親の立場になると、復讐は当然の行動であり、
誰もそれを止めることはできないはずだった。
たとえ警察であったとしても。
悲しくて悲しくて、涙が止まらなかった。
正義とは何か、よくわからなくなった。
さまよう刃
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執筆者:cad
主人公の微妙な心の動きが見所:さまよう刃
さまよう刃 (角川文庫 ひ 16-6)作者: 東野 圭吾出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/05/24メディア: 文庫 二人の不良少年に娘を犯され、殺された男が復讐をのために犯人を捜す過程を通じて、復讐をもくろむ男の心情と、それを取り巻く周りの人間の模様をうまく描いた作品。 ミステリとしてもちょっとしたものであり、東野圭吾の作品と言うことで期待しても、その期待を裏切られることは無いであろうと言う作品である。 私の感想は以下。