SES(System Engineering Service)というキーワードが頭から離れない。派遣か請負かの切り分けでは請負だが、請負が結果に対する報酬を得るのに対して、SESは派遣と同じく過程に対して報酬を得る。じゃあ、SESが請負の一種であるのはなぜかってことで指揮系統の話になる。請負(SES含む)は、指揮系統が派遣元会社。派遣は指揮派遣先会社。整理してみよう。SESが派遣でも請負でもないことがよくわかる。
派遣 | 請負 | SES | |
報酬の基準 | 過程 | 結果 | 過程 |
指揮系統 | 派遣先 | 派遣元 | 派遣元 |
じゃあ請負じゃなくて、派遣でいいじゃんってことになるわけだけど、システムエンジニア(プログラマも含む)という業務は、3年継続した後は別の派遣スタッフに交代するか、同じスタッフで続ける場合は雇用の安定措置として派遣先での直接雇用契約が必要になる。人材確保によるリスクを回避するために外部から派遣で来てもらって、3年たってまだやってほしいとなったら自分とこで雇わなきゃいかんということ。期間限定かつ積み重ねが必要のないプロジェクトだったらこれでぜんぜん問題ない。
請負だと結果に対して報酬を払うので、過程に口出しできない。経過があっての結果だから、両方に口出しをしたいということになる。SESで指揮系統が派遣先にあるってことになれば、派遣と全く同じになってしまう。でも派遣元が「派遣業の許可」を持っているわけでもなく、契約はSESなんだから偽装請負だ。経過も結果も口出ししたいなら、社員にするか個人と直接契約すりゃいいんだけど、どちらもリスクがある。
SESは企業側(依頼する側およびされる側の両方)の都合でできたもので、実際に働く人間にとってはロクなもんじゃないとのこと。相手先企業に行ってコキ使われて、働いた分だけの報酬が自分の会社には入ってくるけれども、働いた人間にそれがフィードバックされない場合が多いと。また、SES企業の下請け孫請け構造があるから中間搾取されて、働く人間に入ってくる金は少なくなる。
おいらが新卒で会社に入った25年前にはなかった仕組み。当時から派遣会社ってのはあったけど、たいていは自分とこで社員としてやとって業務を遂行していた。ソフトを作るのだって社員だけでやるのが当然だったが、10年くらい前から外注さんが参加しはじめて徐々にその比率が高まっている。自分とこがどうなっているのかはよくわからんが、今後そのあたりに注意して情報収集してみよう。おいらだって、この先ずっと今のままの社員であり続けるわけでもないだろうから。