入社して丸16年が経過した。
短かったようで長かったようで...。
今、仕事が一段落して、昔のことを振り返る余裕ができた。
SE職で就職したのに、1年間営業職をやらされた。
営業研修があるとは聞いていたが、まさか1年もあるとは。
入社して半年間は、研修に明け暮れていた。
電話の受け答えなどのビジネス研修や、WindowsやMacで実機研修、
COBOLやVBを使ったプログラム研修。
ここで基礎を学んで、きっちりとした土台ができたかと思う。
さて、営業研修ということになり、長くても半年くらいかと思っていたら、
1年という発表があり、SE採用の新人全員を驚愕させた。
一個上の先輩が1年の営業研修をやったらしい、という情報があったので、
薄々わかっていたことではあるけれども。
ちなみに、一個下の後輩は半年になり、その2、3年後には営業研修
そのものがなくなった。
1年間営業をやるということは、その時点ですでに研修ではない。
年間レースにエントリーされ、ノルマが発生して、日々の重圧がかかる。
新人なので、たいていの場合、顧客を持たされることはない。
自分で新しいユーザーを捕まえてきて、日々の数字をつくる。
自分の担当テリトリー内の会社を、かたっぱしから訪問する。
もちろん、1人で。
購入権限を持つ担当者に会えることはまれなことであり、
たいていは門前払いを食う。
そんな状態で売れるわけもなく、苦しさに耐えられずに
やめていく同期がけっこうな数いた。
1年後のSE配属だけが希望だった。
営業研修中のトレーナーは、SE入社で営業をやっていた。
とっくにSE配属されていてよいはずなのに。
そう、営業研修中に上司から説得されて、営業職にとどまったのだ。
正直、いい先輩ではなかった。
上にはいい顔して下には厳しい、という典型的タイプだ。
当時を思い出すと腹が立ってくるくらいだ。
おいらも、営業をやってみないかという話をされたが、絶対的に拒否した。
その先輩のようになりたくなかったし、営業の才能はないと思ったからだ。
同期の中の約1/4くらいが、説得されて営業としてとどまった。
なかには営業の才能があって、その後いい成績を残したものもいるだろう。
しかし、思う。
きっと、管理職にとっては頭数をそろえて、目先の売り上げを少しでも
伸ばしたかったのだろうと。
営業職の離職率を考えると、その背景がよくわかる。
「君は営業に向いているね」とおだてておいて、残らせるというわけだ。
SE採用の同期は、半分にまで減っていた。
今日で営業研修が終わりという日、仕事を終えて夜遅くに
地元の駅から駐輪場へ向かう道を1人で歩きながら、
限りなく湧き上がる開放感をかみしめたことが忘れられない。
苦しみは終わった、やったー、やったーと唱え続けた。
その後の、SE職が楽だったわけではない。
いやな上司や先輩はいたし、日々の苦労は絶えなかった。
しかし、人には耐えられる苦労と耐えられない苦労がある。
技術力を身に付けられる喜びがあるので、がんばれた。
一歩一歩階段を登って、今の地位にたどりついた。
ふと思う。
長い営業研修で学んだことは大きかった。
技術力一辺倒のSEではなく、人間らしさも兼ね備えられた。
ビジネスマナーの実践、社交力、会話力、プレゼン能力、営業的観点など。
そう考えると、長く苦しかった営業研修も無駄ではなかった。
今の自分を形づくった、かけがえのない経験だったと言い切れる。
社会人としての人生は、まだ先が長い。
あと20年くらいは働き続けるわけで、そう考えるとうんざりしてくるけれど、
いろいろ経験して、この先の階段を登っていきたい。
新人のころ
投稿日:
執筆者:cad