ホモサピエンスつまり我々現代人のことで、10万年前ごろに
アフリカで誕生し、6万年ほど前からユーラシア大陸に広がり始めた。
猿人、原人、旧人、新人。
新人は、旧人に比べるとはるかに進歩した技術を持ち...
って、その新人の話ではない。
会社に入ってくるフレッシュな新社会人のことだ。
4月に入社してこの7月まで集合研修をこなしてきた。
8月の1ヵ月間はは、実践の場である社内で研修を行う。
プログラム研修とOJT。
OJTでは、先輩が顧客などと面談するのに、くっついて行く。
または、社内外での会議に参加する。
ただそこにいるだけでは意味がないので、議事録を書く。
いきなりそういった場に放り込まれて、まともな議事録は書けない。
何度も経験して失敗して、書けるようにならせてあげる。
また、ユーザーや外部の人間と接点を持った際の緊張感を味わわせて、
外向きで社交性を持ったSEにしようというもくろみ。。
近頃は、内に引きこもってガリガリやるSEは必要ないから、
まあいい狙いといえるだろう。
何の因果か、おいらがそのOJTお世話係の1人になった。
各課代表ということで5名ほどがその任務につくことになった。
入社3~5年の若手のなかで、おいらは入社17年。
笑ってしまうほどの年齢差がそこにはあった。
おいらの課には、入社2年と少しの若手がいるが、そいつには
荷が重いということで、その上の年齢のおいらにお鉢が回ってきた。
ほんと笑える話で、おいらの下の世代が育っていないってことで、
オヤジ集団もいいところだ。
まぁせいぜい立派なオヤジとして、17歳下の新人類の世話を
してやろうと思う。
下の世代が育っていないという話をくわしくしてみたい。
おいらが配属されて以降、合計6名の新人が配属されてきた。
その人間達について振り返ってみるという試みだ。
1人目、1年後輩のS。
はじめての後輩ということもあり、けっこう仲良くしてた。
後輩なんだけれども、1歳年上というのはちょっと気まずかったけれども、
大きな障害にはならなかった。
社交性が高いが熱くなりやすい奴で、上司とよくもめていた印象がある。
独立心も高くいつか起業すると言い続けて、配属後5年後くらいに本当に起業した。
小さな会社を少人数でまわして、起業後10年くらいたつので立派なものだ。
今ではオヤジの会社も引き継いで、胃をキリキリさせつつがんばっているらしい。
辞めたあとは、数年に一回会う仲で、情報交換をしている。
2人目、2年後輩のK。
前述のSと仲がよくて、いっしょにつるんでいた。
2年後輩なんだけれどおいらと同い年だったというのは、どうでもよい。
天才肌のプログラマーだった。
無理な要求にも冷静に対処して、きっちりと形にしていた。
労働時間は長かったが、それに見合うだけのものを作り出していて、
今現在もそのソースコードは我が課で活用されている。
Sと同時に退職。
そのときはまるで知らなかったが、Sの会社でいっしょに働いていた。
まさかその会社がCADをつくることになるなんて...。
3人目、4年後輩のT。
まじめで元気な奴だったが、教育係になった先輩が悪かった。
一生懸命やっていたのは認めるが、プログラムに向いているとは言えず、
かしこく立ち回ることもできず、いつもその先輩に怒られていた。
ソースコードのコメントに、書かなくてもいいようなことを大量に書き散らしていた。
同じことの繰り返し、言い訳くさいことで、Tの名前と日付。
7、8年ほど前に我慢できなくなって、Tの名前が書いてあるところを
ソースコードから全検索して、全部消してやったことは記憶に新しい。
相当その先輩とのそりが合わなかったのか、配属3年くらいで辞めていった。
その先輩も、その1、2年後に配置転換で消えていった。
4人目、7年後輩のN。
暗くてどんよりしたやつだった。
同期のあいだでは、それなりに騒がしい奴だという評判だったようだが、
課内ではいるんだかいないんだかよくわからない存在。
幸いなことに、課内でもおいらとは別の仕事をしていたので、
あまり接点はなかった。
たまにやりとりをすることがあっても、面白みがまったくなく、
何を言っても響いているそぶりがなく、現に進歩はしていなかったと思う。
鳴らない鐘を叩くのはアホだということに気付くのに時間はかからなかった。
配属後7、8年はいただろうか。
結婚して子供ができた直後くらいに、田舎に帰って就職すると言って辞めていった。
5人目、12年後輩のH。
最高学府の某大学卒業で、鳴り物入りで入社してきた。
学校の勉強もできただろうが、人間関係を巧みにあやつる術も持っていた。
課外の人間関係をしっかりと築き、華やかで、頭の回転も速かった。
うちの課に配属されたことに不満をもっていたと思われ、少し前に
入社時に希望していた部署に異動していった。
おいらといっしょに仕事をする機会は多く、その築かれた人間関係を利用したり、
いろいろと仕事を教えてやっていた。
配属から4年くらい経ったころ、仕事もできるやつだったので、
最短での昇格をめざしていろいろと立ち働いてやろうと思っていた矢先に、
あっさりと異動していった。
6人目、15年後輩のK。
2年前に配属されてきた。
今現在同じ部署で働いているので、多くを語るのははばかれる。
ともかく、がんばれって感じか。
新人というテーマにおいては蛇足となるが、旧人についても触れてみる。
旧人は、新人に比べるとはるかに退化した技術を持ち...
しつこいってか?
つまり、おいらから見た先輩についても触れてみようという趣向だ。
6年くらい上までの先輩が4人いた。
新卒でうちの課に配属されたということでは、おいらや後輩と同じ境遇である。
1人目、2年先輩のYさん。
おいらと同時に昇格したことが印象深い。
同期同士で社内恋愛の末、寿退社。
今頃は家庭の主婦でお気楽にやっているだろう。
2人目、3年先輩のOさん。
ぶっ飛んだ人だった。
話すことがたいへん非常識で、おもしろかった。
作家になると言って辞めて、その後FXに手を出し...。
3人目、5年先輩のSさん。
10年ほど前に辞めて、去年出戻ってきたけれど、
つい先日また辞めた。
好きにしてくれって感じ。
4人目、6年先輩のOさん。
Sさんと課内恋愛して結婚して、出産を機に退職。
女性にしては豪快でさっぱりした人だった。
ゴッドマザーって感じ。
ということで、下を見ても上を見ても誰もいないってわけだ。
合計25年というスパンの中で、残っているのはおいらだけ。
25年ということは、四半世紀だ。
四半世紀に1人の逸材か...。
すげーんじゃないの?
課という井の中で鳴く蛙は、大海を知らないだけか。
新人
投稿日:
執筆者:cad